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第97回:これからのAO入試(4)
(前回の続きです。)
受験人口とAO入試
AO入試の未来を考える前に、将来大学入試の受験人口や受験層はどうなるか?を考えてみたいと思います。大学という場所は、一昔前は一部のエリートが通う場所で、高等学校からの進学率もあまり高くありませんでした。高度経済成長期の中、一般家庭が裕福になるにつれ、子どもを大学に通わせる家が増え、大学進学率は急上昇、大学の定員も拡大、新しい大学、学部も新設されていきました。しかしながら、ここを読んでいる方は大学進学を当り前のように考えていると思うので信じられないかもしれませんが、大学進学率が急上昇したといっても、現在約50%ほどにすぎず、実際2人に1人しか大学に通っていない計算になります。今後、残りの50%の大学進学率がどのように変化するかによって、大学及び大学入試の未来も変わってくると言えるでしょう。
高等教育機関への進学率(男女)
年 大学 短大 高専 専修
1989 24.7 11.7 0.5 16.0
1990 24.6 11.7 0.5 16.9
1991 25.5 12.2 0.5 17.3
1992 26.4 12.4 0.5 17.8
1993 28.0 12.9 0.6 18.2
1994 30.1 13.2 0.6 18.5
1995 32.1 13.1 0.6 18.9
1996 33.4 12.7 0.6 19.4
1997 34.9 12.4 0.6 19.5
1998 36.4 11.8 0.7 19.4
1999 38.2 10.9 0.7 20.0
2000 39.7 9.4 0.7 20.8
2001 39.9 8.6 0.7 20.8
2002 40.5 8.1 0.7 21.7
2003 41.3 7.7 0.8 23.1
2004 42.4 7.5 0.8 23.8
2005 44.2 7.3
2006 45.5 6.8
2007 47.2 6.5
(資料出所:学校基本調査)
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B2%E5%AD%A6%E7%8E%87#.E5.A4.A7.E5.AD.A6.E9.80.B2.E5.AD.A6.E7.8E.87">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B2%E5%AD%A6%E7%8E%87#.E5.A4.A7.E5.AD.A6.E9.80.B2.E5.AD.A6.E7.8E.87) より)
少子化にともなって、つくられ過ぎた大学・学部の廃止・統合が続いてはいますが、wikipediaのこのデータを見る限りでは、大学進学率自体は今後も伸びてくことが予想されます。あまりに大学進学率が高くなったために、高卒での就職者が希少となり、逆に給料が高くなることにより、進学率にも歯止めがかかることも考えられます。が、現在の高卒よりも大卒の方が出世が早いという日本の社会構造を考えると、高卒の給料が上がることはなしに、高卒で補えなかった分大卒が埋めるようになり、大卒の給料が下がるといった状況に進むことが考えられます。生涯賃金と学費を計算すると、実際に大卒よりも高卒の方がまし、といった現象は起こるかもしれません。しかし、賃金にとらわれない労働価値観、少しでも上の地位に就きたいと考える人が多いでしょうし、何よりも親や高校教師は大学進学を勧めるため、大学へ進学させる余裕さえあれば、生涯賃金はあまり関係なしに大学進学をさせる家庭が増えるに違いありません。
あくまで仮定の話ですが、大学進学率が50%から90%近くまで上昇したらどうなるでしょうか?少子化との兼ね合いで、今の大学定員のまま、90%を受け入れることができる可能性もありますが、ここでは、少子化に一定の歯止めはかかったことを想定してみます。とすると、上昇した進学率を背景に、再び大学は拡充されますが、高校生の学力が上がるわけではないため、名前を書けば大抵受かる一般入試+AO入試が実施される大学が増えることが予想されます。
大学という機関も一種のサービス機関であるため、学力がないと入学できないという前提はおかしく、たとえそういった大学が増えてもそれはそれで良い、責めるとするならば、学力がなくとも卒業できるような今の高等学校の制度に問題があると言えます。ただ、それまで大学進学を考えていなかった40%が新たに大学に進学するようになるということは、ただ単に「学力がない人が進学していくようになる」ということではありません。家庭環境やその他の要因により、意志をもって高卒就職してきた人も相当数いるはずであり、そういった人が大学進学を志すようになれば、現在大学進学を志している人の学力にも優る学力を身につけてくる可能性があります。
また、学力にとらわれない活動をしてきた人は40%の中にも多々いることが考えられ、AO入試に関しては、難関大学も含めた入試に積極的に参画してくることにより、入試が一層難化することが予想されます。さらに、大学拡充の中でAO入試を実施する大学が増えることにより、もともとAOに絞った教育を実践する高校も現れ始め、AO型の受験生の争いは非常に激しくなるのではないでしょうか?
私が高校生の時は、ドラゴン桜という「誰でも東京大学に入れる!」というマンガが書かれ、一時期東京大学を目指す学生が増えるといった現象が起こりました。それと似たような現象が、難関大学のAO入試においても起こるとすると、ドラゴン桜の時以上に、競争が激しくなるに違いありません。
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