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第68回:2009年度9月入学用AO入試対策2

9月入学用AO入試って?
 AO入試は、皆さんご存じの通り、「これまで」と「これから」を見る制度。大きく言えばそうで、「リーダーシップ」「協調性」など、大学によっては細かく評価軸が決められている場所もありますが、基本的には教授一個人が、その人が大学に入って活躍できるかどうかを見極める制度です。しかしながら、AOに関してあまり良く知らない人や受験生は「全国的な実績がないといけない・・・」と思い込む傾向が、さらにAOで合格した人は「実績など関係なく、これからをどれだけ語れるかだ」と受験生へアドバイスしてしまう傾向があるようにも感じます。二つは一見逆の考え方に見えますが、実は同じで、全国的な実績しか、実績と考えていなかった受験生が合格すると、たとえその人が海外留学や地方大会で優勝といった、積み重ねると全国レベルに匹敵する実績になる活動を行っていても、それは些細なことで関係なかった、と思い込み、AOはこれからのことを語る入試だ!と考えがちになってしまいます。ですので、この尾室も含めて、AOに関する他人の意見はあくまで参考程度にしてください。究極的に言えば、どういった評価をするかは、担当にあたった審査官、面接官しか知るところになく、例えSFCの教授であっても、分からないものなのです。
 9月入試関係なく、AO入試において一般的に、受験生と教授たちの間でギャップがあるなと感じる点をいくつか挙げてみます。

・低い評定はそこまで気にしない、高い評定は意外に評価、高すぎる評定も気にしない。
 受験生の中には、平均評定が3.6以下ならまず論外など、評定がそもそも低いと駄目と思っている方もおられるみたいですが、そんなことは決してありません。AOが始まるまでの、推薦入試や指定校推薦入試において、評定平均しか考慮しない高校が多いため、そう考えるのかもしれませんが、AO入試はそういった高校の一面的な評価でフィルターをかけず、大学自ら評価していこう、という制度です。3点台の評定はもちろん、2点台の合格者、大検・高認での合格者もたくさんいます。
 また、4.5以上など、高い評定はB方式という別枠も設けられているように、A方式においても意外に評価されます。評定をしっかりとる、ということは、とりあえず与えられた課題にしっかりと取り組むんだな、という安心感を与えるのかもしれません。私は面接において「鳥取西はかなりの進学校なのに、4.5以上は高いね」と言われ、驚いた経験があります。ただ、4.5を過ぎた上での評定、例えば4.7と4.9に違いがあるかと言われると受験生が感じているほど、違いはありません。もちろん4.7と4.9は違いますが、高校のレベルや履修した科目の違いもあり、特にB方式において「4.5しかないから出願やめようかな」と思う必要はありません。
 最後に私個人の意見を言うと、高校の評定を評価に入れることに、それが例え評価の一部であっても、賛成できません。高校の評定平均を決める大きなものは授業への出席と先生が作る中間・期末テストであり、そんなものは「学力」を正確に測るものではなく、先生が授業で取り扱ったこと、特定の英文・古文や、数学の問題、をどれだけ忠実に覚えているか、でしかありません。高等学校は先生が授業で取り扱った内容をいかに覚えられるか、という場所ではなく、全国的に定められた学力をいかに身につけるか、大学を合格できる実力を身につけられるか(あくまでも学力という視点からのことです)という場所であり、そもそも先生が独自で作るテストなどあってはいけないものです。授業は授業のためにあるのではありません。中間・期末テストも、完全に実力テストにしてこそ、本当に授業が意味のあるものであるのか?個人個人に実力があるのかが分かるものです。
 高校の先生は口をそろえて「学校の授業を真面目にする人が、いつも合格している」「独学ではできない」「塾など通う必要はない」と言いますが、それは非常に根拠のない感覚的な意見であり、見方によっては、生徒を高校に縛ろうとする最大の「脅し」です。むしろ独学でやればもっと効率よくできるのに、学校のことを真面目にやり、それなりの偏差値を獲得し、それなりの大学を勧められ、「学校の授業を真面目にする人が、いつも合格している」と言われるようになる人が多々います。東大に何人も出す超進学校においては、学校の授業を聞かないのが、当たり前な風潮もあるそうです。
 長くなりましたが、「絶対的な権力をもつ先生」が「生徒を高校に縛りつけようとする」という高校が持つ側面を考えると、「評定が良い」ということは、その子に能力があるということと必ずしもイコールではありません。「こつこつ頑張る人を推薦・指定校推薦で獲得する」というのが一般的な大学の意見ですが、「こつこつ、とりあえず言われたようにしないと気まずいし、まぁそれなりにプラスにはなるかもしれないからやろうかな」という性格の受験生を獲得することになります。周囲からのプレッシャーがなくなる大学において、そういった受験生が頑張り続けるかは、まさに「その人次第」であり、AOにおいてもそれは同様です。

(次回に続きます)

              慶應義塾大学SFC 総合政策学部 尾室拓史

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