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第63回:SFCレポート例:2-1
3月も気がつけば半ば。また新しいSFC生が4月には入学し、自分もさらに先輩になると考えると、ちょっとした緊張感を覚えます。SFCに関する相談にはのりますので、特に地方出身で周りに誰もいない人など、s07522to@@@sfc.keio.ac.jp(@@@→@)にご連絡ください。
浅野史郎教授に関する記事を3回にわたり連載してきました。今回はSFCのレポート事例の第2弾として、浅野史郎教授担当授業「政策法務論」で私の知り合いが1年生の時に作成したレポートを紹介します。この授業は主に政治・政策に関心のある学生が学年の関係なく履修する授業であったそうです。タイトルは「政策決定過程における各主体の役割」。はっきりとした課題文は分からなかったのですが、第1段落に書いてあるように、政策決定の過程における国、自治体、国民、マスコミの役割を何かしらの事例を挙げつつ述べるものであったそうです。
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政策決定の過程において、国や自治体のトップはどのような役割を果たすべきか。また、そこに潜む問題は何か。そして、国民やマスコミ、各審議会などの果たすべき役割を踏まえた上で、それらとの相互の関連性は一体どのようなものなのか―ゆとり教育を主な検討対象としながら議論を展開していきたい。
まず初めに、トップの役割のみに限定せず、実際に学者等が集って教育政策を吟味し、策定していく中央教育審議会(文部科学省の案を濾過する機関)の果たすべき役割と問題点を明らかにしていく。
中央教育審議会とは、一種のチェック機関であると捉える。あらゆる機関の利害を調節し、ゆとり教育についてもその方向性をまとめ、審議してきた。その点を踏まえると、政府や省庁とある種の距離感を保ちながら、過去の教育行政のあり方を的確に、また公正に判断して審議を進めるという重要な役割が見えてくる。そのために、委員を選出する文部科学大臣は、審議会の構成メンバーには極端に偏りがあってはならないことに留意すべきである。教育行政に深く密接に関連する地方自治体の意向にも注視する必要性があろう。現在、教育行政の重要な一端を担う地方自治体が、国の政策決定に安易に介入し難い現状がある。これが一つの問題点と言える。
また、審議会の果たすべき役割として、現場に従事する教育職の方々や、教育を享受する側(養育者・児童・生徒)の生の声をより取り入れる工夫に積極的に乗り出すことが挙げられるのではなかろうか。なぜなら、生の声が現実味を持って届いていないことから、政府と国民間の「ゆとり教育」制度に対する認識にギャップが生じていると考えるためである。当初、政府がゆとり教育を推進しようとしている中でも、国民の声はゆとり教育に対してどこか冷ややかな声が多数派であったはずである(これには、なぜゆとり教育が導入されるに至ったかといった経緯に関して、必ずしも政府(審議会)と国民が同じ情報を共有できていない点が一つの要因だと考える)。行政側は、机上の空論にとどまらない現場の声と謙虚に向き合い、より総合的、包括的な視点からゆとり教育と学力低下との関連性を見いだす等といった、ゆとり教育の正確な実態把握を行うことが必要である。そして、より「国民」に求められる体制像の解明に努めねばならないだろう。従って、もちろん生身の人間であるため主観が介入することは否めないが、より中立的、客観的な視点で政策形成過程に携わることが、政策決定における前提条件である。
次に、教育を享受する側の「国民」と、「マスコミ」の、相互の関係について考えたい。先述したように、なぜ国民と政府のゆとり教育に対する見識のギャップが生じているのだろうか。この問いを解き明かすヒントとして、両者をつなぐ媒体としてのマスコミの姿が浮かび上がる。なぜなら、我々国民はマスコミの報道、マスコミからの情報を半ば鵜呑みにする形で思考に取り入れ、物事の判断材料にしている傾向に富んでいるためである。それは無意識な行為であり、自身で思考し、咀嚼し、自身の見解を表すにも、そのための情報や知識も結局は「マスコミ」を通じて得られている、という結論に帰着してしまう。例えば、「ゆとり教育」は学力低下を招く悪因である。このままだと日本の教育、子どもたちは危ない、と、やたら扇動的に視聴者に対して不安をあおるような報道が目立つことがある。そんなメッセージを受け取った視聴者は、疑ってかかるというよりも、そのまま真に受けがちだと推測するのは容易である。
従って、メディアの種類によっても異なるが、政策決定過程においてマスコミの在り方こそ問われる問題の本質だと考える。「世論」(世論とは何かを吟味することは、今回割愛する。)を政策に反映させていくために、国民へ広く「情報」提供するマスコミには、より中立な立場で、正確かつ建設的な情報提供を国民に示していくべきではないだろうか。「ゆとり教育はだめだ。学力低下の要因だ。」と熟考された理論的な論拠なしに否定するのは、無責任な行為であろう。何も、マスコミの表現の自由の制限を求めるのではない。ただ、マスコミというメディアは、発言する主体として、責任を持って、冷静かつ適切な報道を目指すべきである。
(次回に続きます)
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