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第61回:教授インタビュー記事を読んで4

 (前回の続きです)

 日本の今の大学体制、受験体制、高校体制についてはどう思われますか? という質問に対して、浅野さんは入学試験の科目数や選ばなければとりあえず大学に入学できることを指摘されていました。

 多くの企業が大卒からの入社しか認めていないことを背景に、また少子高齢化による18歳人口の低下により、大学へ行く人は着実に増加しています。選り好みしなければどこにでも入ることができる状態は確かに存在し、「日本における学士のレベルは低くなっている」という主張は間違いではないでしょう。ただ、高校3年間みっちり受験勉強した私ですが、微分積分の関数やノルマン朝について今ここで思い出せと言われてもややあやしい感じです。さらに、本人にやる気があれば、大学で必要な数学力などそんなに苦労せず身につけられることから、大学の運営の仕方自体では大学入学後の教育によってレベルなどいくらでもあげられると思います。

 また、受験科目が少ない・・・ということですが、これは私立大学が苦労している部分です。以下を引用してみます。

 他方、ひじょうに多く(文脈的に1950年あたり)の私立大学の入試では、早くから、国語、社会、数学、理科、英語の五教科の全部ではなく、三教科前後の各科目について出題して、三教科にまたがる三科目前後の科目を選択させる出題形式が一般化した。文系では数学、理科を出題しない場合が多く、理系学部では国語と社会のいずれかまたは両方を出題しないばあいが多かった。 このような国公立大学と私立大学の入試における学力検査科目の出題方式の違いは、高校教育のなかに、国公立大学受験指向の学習およびそれに対応する指導(たとえばコース)と私立大学受験指向の学習とそれに対応する指導を生み出すようになった。

  (「大学入試制度の教育学的研究」日本教育学会入試制度研究委員会 より)

 文献によると今に限らず早くから私立大学は受験科目が少なくなっているようです。あまり科目を多くすると受験者が減り、偏差値が下がる、また受験者が減ると受験料が確保できなくなる、などが主な理由であると思われますが、一般入試的な選抜の観点から言えば正しい選抜が行われているとは言えません。特に地方の公立など、私大は初めから受験対象にされていない高校もあることから、コツコツ暗記ゲームを日々こなしていける人が本当に獲得したいなら、なるべく国公立大学に近いかたちの多科目、記述入試を実施すべきであると思います。そうでなければ、英語だけ、だとか社会だけ、となると、たまたまその科目が得意、あるいはその科目に特化した人が有利になってしまいます。中でも慶應義塾大学や早稲田大学など、私大の中でもトップにいる大学は受験科目を左右できるリーダー的存在にある(入試科目が増えたからといって偏差値が下がりにくい)ことから、変えていく価値はあると考えられます。 余談ですが、国公立大学医学部受験においてセンター試験での得点率が9割必要であることは、かなり異常な事態です。センター試験の勉強を少しでも真剣にやってことがある人は分かると思いますが、センター試験の得点というものは、8割を過ぎたあたりからはなかなか伸びず、運も大きく左右する世界、つまり受験生の実力があまり測れない世界に入ってきます。ましてや9割得点がボーダーだと、2次試験的な能力がありながらも、センターが思うように得点できず、受験を諦める人が、さらには来年、再来年、という人まで出てきます。東京大学が素晴らしいのは、センター試験の成績をあまり重視せず(センターで100点の差が開いていても、2次の段階では10点ほどのディスアドバンテージしかない)2次試験を重視しているところにあると思います。

                              次回へ続きます。

慶應義塾大学SFC 総合政策学部 尾室拓史

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